うっかり使ってしまう慣用句の間違い

私もつい言い間違えてしまいそうな言葉に「間が持たない」があります。こちらも正しくは「間が持てない」です。「間を持たせる」という言葉(空いた時間をうまく取りつくろうなどの意)もありますが、言い回しが似ているだけに厄介ですね。

このように、間違いにも、言葉の言い回しが似ているための言い間違い、意味を取り違えての間違いなど、さまざまです。取り上げられることの多い言葉や慣用句、そして最近よく聞く誤用例などをいくつかを挙げてみます。まずはどこが間違っているか、当ててみましょう。

問題

Q1:あやうく、足もとをすくわれるところだった
Q2:彼は急に椅子から、やおら立ち上がった
Q3:彼はムッとしたのか、憮然とした表情で立ち去った
Q4:このホラー小説って、あまりぞっとしないね
Q5:明日は新しいタワービルのこけら落としなんだって


いくつわかりましたか?


Q1:あやうく、足もとをすくわれるところだった

「足もとをすくわれる」が間違い。正しくは「足をすくわれる」です。「足をすくわれる」とは、ちょっとした隙につけ込まれて相手に失敗させられるという意味です。一方「足もと」という言葉の意味は、文字通りで足の近く、立っているところという意味ですが、それ以外にも、身近なところ、現在置かれている状態、歩く時の足の運び方、歩きぶりなどの意味もあります。「足もとに火が付く」などのように危険なことに関して使う場合も多いので、それと混同してしまっての誤用でしょうか。


Q2:彼は急に椅子から、やおら立ち上がった

これは「やおら」の意味の取り違いです。「やおら」とは、急にとか、いきなり不意にという意味ではなく、正しくは、おもむろに、静かにゆっくりであるさまを指します。


Q3:彼はムッとしたのか、憮然とした表情で立ち去った

こちらも「憮然」の意味の取り違いです。「憮然」は、ムッとするとか、腹が立つという意味ではありません。正しくは、落胆する、驚き呆れて、呆然とするさまを指します。


Q4:このホラー小説って、あまりぞっとしないね

では「ぞっとしない」とは、どういう意味でしょう? これは、あまり面白くない、感心しないという意味で、怖くない、恐ろしくないという意味ではないのです。怖いホラー小説や映画であっても、それが面白くなかったという意ならわかりますが、「これって、怖いっていう話だからビクビクしながら見たけど、ちっともぞっとしなかった」などの言い方も間違いになるわけですね。


Q5:明日は新しいタワービルのこけら落としなんだって

「ビルの柿落とし」が間違い。ビル内に劇場があってそれを指すならばわからなくはありませんが、本来の意味は「こけら落とし」とは、新しく建てた、または改築した劇場で行われる興行を指します。劇場の開場を祝う最初の催しのことをいう言葉なのです。


なるほど〜、納得☆彡

日本語ってムツカシイネ(´ε`;)